いちばん左の分厚いの、一般の方は知らない人がけっこういるらしい。 最近ちょっと使ってみたら、花屋の店員さんに中国製のパチモンだと思われた。 …初代iPodですよ! |
今日は仕事のあと、iPhoneを新調したのでケースづくり。
以前から、RethinkさんのところのiPod touchケースを使っていて、
touchからiPhone 3Gに切り替えた時も、無理やり引き伸ばして使っていた。
でも今回のiPhone 4、角が角張っているのではみ出てしまう。
というわけで、余った革を切って縫って90分、作業完了。
◆◆◆
デザインは、わたしが革の工作をはじめるときに、
勝手に弟子入り(=私淑)したRethinkさんの、ほぼそのまま。
いろいろと無駄な知恵をしぼってみたけれど、
やっぱり使い慣れている形がいまのところいちばん。
◆◆◆
ところがいざ使ってみると、やっぱり使い勝手が違う。
Rethinkさんのものは、「ベタ張り」という技術で、
非常に薄く漉いた革を貼りあわせて、両面を表になるようにできている。
対してわたしの使っている革は、2mmのもので、ベタ張りなんて技術もない。
(日本で数人の職人さんしかできないらしい)
そんなわけで、見た目を同じに作っても、iPhoneの裏側に回した状態で
本体を操作しようとすると、なんかゴワゴワする。
くらべてみると、お師匠さまのものは1mmちょっとしかないのである。
ということは、革を0.5mmくらいに漉いた上で貼りあわせているだから、
これは恐るべし、というしかない。
さらにケースのカーブに合わせて、貼り目を少しずらしているらしく、
ここ5年ほど毎日使っているのに、型崩れがほとんどないのである。
参りました、というしかない。
見た目にはほとんど同じにみえるけれど、
一流の仕事というものは、残りの5%で勝負しているのだ。
やはり、神は細部に宿る。
◆◆◆
わたしはいいかげんなものを身の周りに置くくらいなら
そんなもの無いほうがよっぽどマシだと思っているので、
製品を買うまでこそが真剣勝負なのだが、そういう人間に言わせると、
iPhoneの完成度にふさわしいのは、世界広しといえどRethinkさんのケースだけだ。
わけのわからんメーカーの、
毛羽立ったままのほんとに革だか疑わしいようなわからんケースとか、
埃だらけのシリコンケースがぴったり張り付いたのを見ていると、iPhoneが可哀想である。
別にこれはなにもiPhoneに限ったことではないけれど、
その状況や使い方、その人間にはふさわしいモノというものがあるのであって、
中学生がブランド物のバッグを持っていてもおかしいのだし、
中に入っている金額の何倍もする財布というのも、やはりおかしいものである。
そんなところをチグハグな選び方をしている人を見るに付け、
「この人に、このモノの良さが分かっているとは思えない…」
と、こっそり思ってしまう(ごめんなさい)。
◆◆◆
しかしこのiPhone 4、自分のものとして使うのははじめてだけれど、
手にとってじっくり確かめるほどに、
iPhone 3G,3GSとは比べものにならないほどの洗練具合である。
シンプルなようでいて隅々に至るまで考えつくされたカーブと、
手にとったときに顔がほころぶようなモノとしての重み。
ボタンを押したときのしっとりとした感触と、
ガラスに張り付いたようなくっきりとした画面。
これは、誰にでもできるものではない。
国内のある車メーカーの技術者が、ベンツのドアの閉まるときの、
「パタン」という、かっちりとしながらしっとりとした音を再現するために、
どこからこんないい音がするのかと、分解して調べてみたそうである。
そのときにわかったのは、その音というのは、
あらゆる部品、部品にこだわり抜いた結果、
車内の空気がドアの周りの隙間からあくまでも自然に、
均等に漏れ出ることから来るものだったらしい。
表面だけを真似ても、いけないのである。
iPhone 3Gを手にとった時も、裏面の陶器のような黒に魅入ったけれども、
あれとはひと味も二味も違う、モノとしての確かな存在感だ。
いまの時代は、こういうものがそこそこの値段で手に入るんだねえ。
これにふさわしいケースは、わたしにはまだまだ作れないけれど、
しばらく自作のケースとにらめっこして、次のステップのための反省である。
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