2010/10/26

MacBook Airが届いた。


メインにMacBook Proの15インチを使っているし、
外出するときにはiPadを、キーボードとスタンドと一緒に持ち歩いていたので、
果たして使い分けができるかどうか、と思いながらも注文。


初代のAir
実は、初代MacBook Airも発表された瞬間にぽちっとなして持っていたのだ。
あのときは、Appleもついに持ち運べるノートを出す気になったか!
これはPowerBook 2400cの再来だ!と思ったもの。

見た目には文句なしに素晴らしい製品で、
ひんやりとしたアルミのパームレストに、
滑らかでゆったりした大きさのガラス製トラックパッド、
宙に浮くようなアールのかかったライン、
ケーブルを全部捨てろと言わんばかりのポートドアなど、
どこをとってもうっとりするような、思想性あふれるものだった。

ところがいざ使い始めてみると、
熱を持つとレインボーカーソル(考え中のマーク)がくるくる回りはじめ、
数分経っても止まずに作業が停止されるという、私にとっては致命的な欠陥があり、
父親のPCが壊れたときにあっさり譲ってしまった。


私は機械は単なる道具だと思っているので、
その道具が自分のやりたいことを阻むようなものは本末転倒、こっちからお断りなのである。
というわけで、あっ思いついた、となったときに、
考えの逃げないうちに、ぱっと開いてさっと記録できないと、持ってる意味ないわけだ。
(遅い道具をずっと使い続けられる人はうらやましい。)


そのわりにお前は道具に拘るな、という友人がいるのだけど、
単なる道具だからこそ、こだわらざるをえない、というのはそれほどおかしなことだろうか。
今やりたいことがあって、それをこなしてゆくための手段として道具を選ぶのだから、
やりたいことを妨げたりうまくやらせてくれないのなら、むしろ無いほうが良いわけです。

形から入って、さてPCでも買うか、という人たちには、なかなかわかってもらえないようである。
その気になれば、道具なんかどれも捨てられるもの。
(そんならおくれ、といってもあげません)

◆◆◆

さて、そういう経緯があって、今回は大丈夫かな、と思って注文した今回のAir。

わたしが注文したのは、下のモデル。
・11インチ:64GB
・プロセッサ:1.4GHz Intel Core 2 Duo
・メモリ:4GB
・キーボード:US

メモリを増やしてあるから、学割と消費税入れてお値段95000円弱。
とにかく一番の目的は、「文字をストレスなくタイプできる」ということだから、
一番馴染みのあるUSキーボード、遅くなったら嫌なのでメモリは倍。

(1万円でプロセッサを1.6GHzにアップグレードできるけど、
同じ値段でメモリを増やしたほうが、体感速度ははるかに上がるはず。
あとで足したりはできないので、買う前にちゃんと考えましょう)

◆◆◆

今日一日使ってみた限りでは、
5時間持つというバッテリーはまったく問題なし。
2時間ほど文字を打っていたが、まだ70%残っている。
ワイヤレス(Wi-Fi、Bluetooth)をオフにしてのタイピングだけなら5時間はしっかり持つと思う。


あまりメディアで触れられていない点として、
・キーボードはファンクションキーだけではなく、スペースキー側も2ミリほど短い。
 (日本語変換するときに右下の方向キーをタイプミスする以外は問題なし)
・キーボードはこれまでのMacBookシリーズなどよりも、ストロークが浅い。(違和感あり)
・キーボードはバックライトは搭載されなくなった。(悲しいがキートップの印字はシルバーで高級感がある)


あと個人的な感想として、
・ポートドアが廃止され実用的だが、デザインとしては後退したと思う。(横から見るたびにがっかり)
・強度のためか、液晶の縁がやたらに広い。(いつになれば狭縁に戻ってくれるのか)
 チタンPowerBook G4を愛用していた人間としては悲しいぞ…あれは最高にカッコよかった。
・キーボードの下にスピーカーがあり、ステレオになった。音もいい。(これは飛び上がるほど嬉しい!)
・解像度アップで、11インチでも旧13インチ並みに情報量がある。
・液晶のバックライトはLEDだが、初代ほど綺麗ではない。(コストダウンだろうね)
・アスペクト比が16:9になったことで、文字を読むには縦が狭すぎる。(UIを再構築すべき時なのだ)
・とにかく軽い、かさばらない。PCかついで研究に行くぞ!という気構え無用。(ケースほしい)

◆◆◆

総評としては、今回のMacBook Airはひとまず誰にでも進められるバランスは持ち合わせていると言って良いと思う。
見た目の良さだけでなく、中身で選んだときにでも、十分におすすめできるほどに成熟している。
(余談だが、アップルはメジャーアップグレードの偶数番号に当たりが多いのだ。
 リスクをとりながらも論理的に考えている証拠である。だれか本でも出さんか。)


たとえばPCを新調したいのだけど、
となった場合にどれを買えばいいかとなると、けっこう悩ましいものがある。
わたしが選択肢を挙げるとすれば、以下の二つ。

・iPad(48,800)+キーボード(6,800) ※PCがあることが前提
・MacBook Air 11インチ(88,800)


そのうちどちらになるかは、ビューアーとしての使い方がメインなら前者、
創作活動が中心で、レポートの執筆からビデオの編集までしたい、となれば後者ということになる。

他の13インチMacBookや同Proは、もはやおすすめしにくい。
それほど、今回のモデルチェンジは大きかったということでもある。


◆◆◆

しかし9万円ほどでこれだけの物が手に入るようになるとは、時代の流れとは、
努力を積み重ねる人間というものの行く末というものは恐ろしい。
初代Airの64GBモデルといえば、当時出たてのSSDを使っており、40万ほどしたのだ。
あれから2年でこれほどまでの進化を遂げるとは、誰が予想したであろう。

もしAppleが、
iPadを開発していなければ、
フラッシュメモリの買い付けが世界一でなければ、
Mac OSが成熟の域に達していなければ、
バッテリーマネジメントがここまで発達していなければ、
ニッチなシェアでなけば(出荷量が多すぎるとアルミ削り出しはむしろコストアップなのだ)、
…どの要素が欠けていても、ありえなかったことである。

「もし」という仮定は想像の中にはあるが、もはやそれがありえない世界に我々はいる。

こういう存在の行く末を見ていると、歴史的必然性というものは、
積み重ねている者のところにしかないと、いつも思う。
それも、圧倒的な正しさをもって積み重ねられた者にだけだ。
ガムシャラにやってもダメで、積み重ね方そのものを、しっかり考えておかねばならない。

これまでの延長線で物事を考え、1を2にすることだけを考えていた人間と、
0から必死の努力でもって1を創り上げようとしてきた人間との差が、そこにはある。
後者は、方法論を含めて独力で創り上げてゆかねばならないからこその、まったくレベルの違う大難事なのだ。

どちらが儲かるか、といえば圧倒的に前者であろうが、時代を作るのは紛れもなく、後者だ。

2 件のコメント:

  1. 職人並みに道具にこだわることが、いい仕事につながるように感じました。
    ありがとうございます。

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  2. なんとなく、今週はiphoneお休みウィーク。
    読書しています。

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