2010/10/27

MacBook Air 追記

Appleについて語りだすと、他のことが手に付かなくなるので困るのだけど、ちょっと追記。

・秀逸な記事を発見

MSが新「MacBook Air」を恐れるべき理由--フラッシュストレージがもたらす可能性 - CNET Japan
 MacBook Airが高速であることの理由の1つは、単にフラッシュストレージを使っているということだが、もっと大きな理由は、Appleが新しいMacBook Airを、従来のハードドライブがなくなるという前提で設計したことかもしれない。

この記事で書かれていることを補足して流れを見ておくと、

新しいMacBook Air(以下Air)をAppleが「ノートブックの再発明」なる仰々しいキャッチコピーで宣伝しているのを見て、誰かが大げさすぎる、と言ってもやむなきことかもしれない。
それは、少なくとも外見上はそれがこれまでの延長線上のノートブックの形をしているからであり、すこしつっこんで見ても、それが「フラッシュストレージを標準採用」しただけである、というようにしか見えないからである。
事実、Windows OSを採用するVaio Xは、同じような価格帯で、Airよりさらに薄く、軽い。

ところが、いざAirを使ってみると明らかになる最大の特徴は、iPhoneやiPadのように、「一瞬で起動できる」ことなのである。
もちろんそれは、完全に電源が切れた状態から復帰させるのではなくて、スリープ状態からの復帰なのだが、この製品はそのスリープ状態を1ヶ月保っておける仕組みを一から作ることで、一瞬での起動を実現しているのである。

それは、「フラッシュストレージを採用した」というハードウェア的な要素だけではなく、「Appleが起動に時間のかかるハードディスクのオプションを排除した」という立場上のフットワークの軽さに加えて、「スリープ状態でもほとんど電力を消費しない」というソフトウェアによる工夫を凝らしているからに他ならない。

その結果として、Airは、これまでのノートブックのあり方に縛られることなく、iPhoneやiPadなどといった製品を使い慣れたユーザーからも批判のでないユーザー体験を、自然に実現できているわけだ。
そしてそれは、これからのApple製ノートブックの未来を、暗示していると言えよう。

ではこれと同じ進化を、幾多のメーカーのサポートを必要とするMicrosoftが、足並みを揃えて実現できるかといえば、相当に困難なことだと言わざるをえない。

◆◆◆

達見である。

この記事では、MSを引き合いに出してはいるが、それは形の上でだけのことだ。
その論理として、「レガシー(旧世代)のサポートを必要とする立場」とこれまでのしがらみを振りほどき、「ユーザーにとっての最高の体験とは、という観点から物事を考え、製品づくりをできる立場」のあいだに、どれほどの隔たりがあるか、という一般論まで議論されているわけである。


メディアにしろ文学にしろ学問にしろ、仮にも創作活動に携わっていることを自認するなら、見たままの事実や知識の背後に、どういう論理が横たわっているかを引き出してこその、真っ当な仕事である。

それが、単に「結果として」新しい知見、に見えるだけにすぎない。
わけのわからない新しいアイデアだの思想だのに飛びついたり、それを使って現実の動きを分析しているように見えても、結局は自分のたどり着きたい結論ありきで、都合の良い証拠をつなぎあわせているだけなのである。
それは、「創作」とは言わない。


もっと悪いことには、こういう電子機器を扱ったメディアというもののほとんどが、徹底比較とかこつけて、やっていることはCPUが上がっただの、新しい機能がついただのということしか書けず、なにも「論じられていない」ことだ。
そんなものは、メーカー公表のスペックシートをExcelでまとめればいいだけのことで、ライターとしての誇りにかけて、このレベルの記事を論じてゆける力を育んでほしいものです。

2 件のコメント:

  1. 読んでいて、面白かったです。

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  2. ストレスなく使用できることの素晴らしさが、
    持ってみて初めてわかりました。

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