2011/12/05

本日の革細工:G3T(G3と合わせて使うツールバッグ)

みなさん、ご無沙汰しています。


身体など壊されてはおられないでしょうか。
わたしは気持ちとしては元気そのものですが、秋ごろから計画を前倒しして生活のペースを上げたので、ここでの更新がなかなか思うに任せないところがあり、心苦しいと思っています。

学生時代から、一年に知力・体力ともに前年比で1.1倍になるように計画を立ててきましたが、なにも毎年同じだけ上げてゆかなくてもよいと気づいたのです。
なんだそんなことか、と思われるかもしれませんが、わたしにとっては、今この目標の立て方を振り返ってみると、なんとも形而上学的な考え方をしていたのだなあと思われたからです。

最低限達成すべき目標は目標としておいたとしても、結果としての到達点だけで成否を云々するのではなく、その過程に目を向ければ、計画の達成度合いではなくて計画の進め方そのものにこそ注目すべきでした。

今年の秋にひとつ歳をとったことをきっかけにして、そこをちゃんと見つめて、より本質的な前進をなしうるようにせねばと考え、毎日を大事にするという、その仕方を磨いてゆこうと思っているところです。

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さて、どうでもいい話はともかく、こっそりと進めてきたことをお披露目する時が来たようです。

最近は一から文章をまとめる時間がないせいもあって、革細工ばかり紹介してしまっていますが、扱う素材としては今月いっぱいでいったん修了するということもあって、わたしとしてもラストスパートという時期なので、もうちょっとお付き合いくださいね。

以前に作った自転車用フロントバッグ"G3"の派生として、ツールバッグを計画していました。
オーナーさんにとって、G3のサイズぎめで色々と逡巡がおありだったようなので、もしもの時に容量を補うことのできるものを作って少しでも掬い上げたいと考えたからです。
今日はG3をオーナーさんに受け渡しするという約束がありますので、目標は今日その日でした。(この記事は予約で更新されています)

はたして、今日の仕事に行く前になんとか完成させることができました。

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正面から。



以前に試作したツールバッグはファスナーを使っていましたが、今回は蝶番(ちょうつがい、ちょうばん)式です。

背面側から。てっぺんに横の棒が刺さっています。


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実はこの蝶番という仕組みは、ある友人と、バッグの開閉方法について議論しているときに、その人がふと提案してくれたものです。
それを、以前のG3を自転車キャリアに固定するときの方法として使わせてもらったので、今回はその派生として、フタを閉めるときに同じ仕組みを採用したのでした。


ファスナーはたしかにとても優秀な部品ですが、わたしたちがどうしたって自分の手で作り出すことはできません。
それに比べて、蝶番は、それより自然で無理がなく、なによりメンテナンスも楽であるなどという利点があり、わたしはとても気に入っています。
とても自然で昔からある方法ですが、ひとりで考えていては、鞄にそれを使うという発想はありませんでした。

いつもおそろしい距離を長々と散歩しながらあれやこれやと議論してくれる友人に、この場を借りて感謝します。

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サイドから。


蝶番式のいいところは、天井がすぼまる形になるので、とてもすっきりしたシルエットになるところです。

ところが欠点もあり、木の棒を通す革の部分が邪魔をして、中身を確認しにくくなるのです。



 そういうわけで、マチの上部を広めにとってあります。
ここを広めにとっても、ファスナーと違って上部が締まりぼんやりした表情にはならないことも、うまく作用しました。

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ところでこうするにはひとつの障害があり、今回のG3Tは、G3と同じく柿渋染めをしたために、革がとても硬くなってしまっていたのでした。


このままにしていると、マチが硬すぎて柔軟に広がってくれないので、手揉みで革を柔らかくするという作業をしています。
銀面を谷折りにして、少しずつ指先で揉みほぐしていきますが、ふだんは慣れないところに力点がかかるせいで、指全体がぴりぴりしてきます。

こうしておくと、とても革が柔らかくなり、それとともに革にシボがつきますから、正面と側面で表情の違いを明確に出せることにもつながるわけです。

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G3のインナーポケットとしても使えるサイズにしてありますから、その場合にはフタを開けたままにしておいてもいいかもしれません。


この仕組みはいろいろと応用が効きそうですね。
固定部と開閉部を統一させてリバーシブルにしたり、異なるバッグを無理なく連結させる、ということもできるかもしれません。
そういった利点を発揮できるようになると、単なるアイデアの枠を超えて、明確にファスナーに対する優位性を見出すことができますね。

今回は金具をDカン2点しか使わなかったので、既製の部品をできるだけ使わずに作品を仕上げる、という方面の進め方もありえそうです。

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