2011/04/19

本日の革細工

今日は図書館が使えなかったので、軽く授業したあとずっと学生さんと議論していました。


ほんとは就職活動の相談だったのですが、
話が弾みもっと大きくて深い話ばかりをしたので、
直接的にはなんのアドバイスもしなかったことになります。

ただこういうことのほうが人間の本質にとっては必要なのではないかと、やはり思います。

◆◆◆

わたしたちが、今日の食事に困らずに、空き時間を見つけては、
人間かくあるべき、という話ができることは、
たしかに日本という国の経済状態に余裕があるからだという前提があります。
わたしたちがのほほんと過ごせているのは、先人たちが必死に戦後の復興に力を注いでくれたからです。

しかしそれはそうであっても、
「そういう状況に生まれ、生きているからこそ」、
できることもあるのではないでしょうか。

わたしは貧しい国を旅行するのが好きで、なぜかといえば
そういうところに行くと、人間の生気というのは経済の過多に依らないのだ、
ということを触れるくらいのところで見ることができるからなのですが、
もし自分がそういうところで生まれていたら、学問を通して人を幸せにする、
などといったこと自体に想いを馳せることはなかったのです。

そういう意味で、いま自分が生まれ育った環境が豊かに恵まれていて申し訳ないと思うくらいなら、
そういう環境に生まれ育ったからこそ、そうでなかったときよりも、
自分にはより大きく羽ばたける可能性を与えてもらっているのだ、
と前向きに受け止めることをしてゆきたいし、後進にもそうしてほしいと思います。

こうして覚悟が決まると、自分の心のなかにくすぶってはいるけれど
現実的に考えたときに引け目を感じるようなことでも、
しっかりと見据えてゆくことができるようになってゆきます。

お話ししてきた内容については、後日触れてゆきます。

ただ複雑な選択に向き合う時こそ、
自分の中での原理や原則がどうしてもやっぱり必要なのだと、
今日も今日とて確認しあってきたものでした。

◆◆◆

さて、本日の回想録はさておき、気分が高まって眠れないので就寝前の作業報告。

ひとつめ、名刺ケース。


以前に友人から頼まれていたので、
しばらくいろいろと型紙とにらめっこしながら考えてみたのですが、
こういう形に落ち着きました。

一枚の長方形の革を手前にぐるっとまわして、
あいだにもう一枚の仕切り革を挟んだ形になっています。


じつはこれ、一番下側の横幅と比べると、
真ん中の仕切り革は2mm短く、上の部分の革は1mm短いのです。
こうしておくと、側面を作らなくても、内側の空間を確保できるわけですね。

横をぐっとつまむと革のテンションが働いて、蓋が開いて中身が見やすくなります。
わたしは名刺ケースが必要なほうではないので、ビジネスのプロがどんな感触を持たれるかは未知数ですが、うまくいけば食事代をもってもらえるらしいのでちょっと期待です。

もしダメなら…おごってもらえるまでがんばる。

◆◆◆

あと、こっちはどうなるかわかんないなあと思いながら作った、
ペットボトルのケース。


「からだ巡り茶」の薄型ボトルしか入らない特殊仕様ですが、
中身は詰め替えて持っていくのでこれでいいのです。

夏場に冷たい飲み物を持って行くと、ボトルが汗をかいて
鞄の中のノートがにじみまくるので、その対策のためのものです。

でも革と水は相性が最悪なので、どう出るか予想もつきません。
いい加減に放ったらかしにしてたらカビ生えちゃいそうだしねえ。

まあこればっかりは使ってみないことにはなんとも、ですが、
製作上の技術的には底面の立体処理をはじめ、問題は残らなくなりました。
というか、ぜんぜん物足りない感じです。

次はもっととんでもなく難しいことやりたいなあ。
気持ちがここまで高まってきたら、
以前から腹案を巡らしている木と革での人形作りにも、いよいよ進めそうです。

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