2011/08/25

GoogleにMotorolaが必要だと思うわけ (1)

※この記事は、本来ならば「道具の本質の周辺:HPのWebOS機器開発中止の報によせて」の前に公開されておいたほうがよかったかもしれません。
なにしろ、8月に入ってからのエレクトロニクス業界のニュースは足が早すぎで、昨日のニュースについて書いていたら今日もあたらしいニュースが入ってきた、という具合です。
そうはいっても、当Blogはあたらしい話題はやっぱりまるきり扱わないので、いつもどおりに運営いたします。

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Googleはもともと検索サービスからそのビジネスをはじめた会社ですが、


それまでにない発想の検索エンジンでユーザーの支持を獲得したあと、今日まで拡大路線を進めてきました。

みなさんの眼に触れる機会が多いサービスを挙げてみると、
動画を閲覧できる"Google Video"と"Youtube"、
論文検索"Google Scholar"、
文書共有"Google Docs"、
世界中の図書館の本をスキャンして公開する"Google Books"、
地図サービスである"Google Earth"、"Google Map"、
スマートフォン向けOS"Android"などです。

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ここまで手広いサービスをするには、内製のものだけではなくて当然に買収もそれなりの数にのぼります(Google買収企業 一覧、まとめ - NAVER まとめ)から、そこだけを見ていると、一時期ビジネスの世界で典型的な失敗例として槍玉に挙げられていた「多角化路線」や、その結果生まれる互いに関連性の薄い事業分野の複合体である「コングロマリット」になってしまうのではないか、という心配もありそうです。

ただ事業分野の数を数えてみれば、確かに「こんなことまでやってるの?」という手の広さなのですが、いちばんの問題は、その目指すところがぼけていないかどうか、というところなのですから、多方に手を広げてもなお、強い目的意識性が明確に存在しているのかを調べてみなければなりません。

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Googleの場合には、「世界中の情報を一箇所に集め、保存すること」と、それにも増して「それらをうまく解析するやり方」を常に考えているように見えますし、一般のユーザーに対してそれを無償で提供することにこだわってもいるようですから、わたしにとってはやはり、規模は大きくとも目的意識の強い、信頼に足る企業体だと映ります。

とくに研究者にとっては、必要な情報のありかはわかっても、そこがすでに第三者の利権によって押さえられていたりすると、必要な情報が手に入らなかったり満足に引用できなかったりします。
稀覯書の類を囲い込んで人の手に渡さないように計らう者もいますし、著作権を延長させようとする権利者団体もいますし、国立系図書館と私学図書館とのしがらみもまだ残っています。

それらはたしかに、心ない使い手によって文化遺産が傷つけられては困るから保護しているのだというしごくもっともな理由もありますが、悪意のない研究者からすると、度を越えたしがらみのようにも映ります。
そこをGoogleは、必要な情報を万人の手に、という目指すところを貫き通すために個人の力ではとても成し得ない交渉力を発揮してくれるのですから、これほど心強い味方はありません。

一般の人の場合には、Google Mapの撮影車が私有地に入ってしまったり、プライバシーを侵害したなどの問題が取り上げられたこともありますが、今年の春前に日本を襲った東北大地震の際、Googleが各地の避難所の名簿を撮影し、ユーザーが文書化する土台を作ってくれたおかげで、探しびとがいる場合にはすぐに検索するということができたのでした。

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そのほかにも、
検索エンジンから得られた日本語の解析データを元に、日本語変換ソフトを配布しているのも、
青い惑星「地球」を俯瞰する立場から、自分が今いる住所にまで数秒の内にズームアップできるというのも、
スマートフォンを使えば外出先でも、現在地から行きたい場所へとマーカーを引いてくれるのも、
すべてGoogleのサービスを使って実現していることです。

しかも、これらすべてが無償で行われているのです。

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Googleは、持ち前の自由を尊重するという思想でもって、もはや弊害が多く目につくようになってきた古い制度というものを改善しようとし、場合によっては打ち砕こうとしてきました。

こういったことを捉えようとしたときによく使われる言葉が、事業分野は重ならないけれども相乗効果をもたらすべく行われる「水平的拡大」という手法です。
検索サービスの広告収入を起点にして、旧態依然とした体制があると見るや手を伸ばしてきたGoogleは、まさにそのやり方を体現しているように見えます。

ところが、というところが、今回の表題に挙げておいたニュースが、驚かれた理由です。


(2につづく)

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