2012/01/01

新年のごあいさつ

あけましておめでとうございます。


去年の活動の中で、自分という個人が人類総体の中での位置づけとして目指すべきものが、前よりもはっきり描けるようになって来ましたので、今年もその方向性をちゃんと進めてゆこうと考えています。

ずっと前には、あれもこれもと手を出して、たくさんのものを手元に置いてみたりもしたのですが、自分にはそういうやり方よりも、限られた事柄をより深く探求することを通して、磨き上げたり研ぎ澄ましたりするほうが、感性的にも理性的にも合っていることが以前よりもよくわかってきました。

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学生たちと向き合っていると、たとえば数学の問題を解いて同じ答えにたどり着いたときにでも、その答えに至るまでの筋道が、無駄なものがたくさんくっついたぼわんとしたものもありますし、足り過ぎもせずかといって足りなさすぎもしないぴったりとした証明であることもあります。

答えが合っていれば、どちらにも同じ点数を与えることになりますし、社会に出て結果が重視される場所にいればなおさら、その過程に目を向けられることは少ないことからいきおい、いつしか自分自身もそういった考え方に慣れ親しんで染まってゆくものですが、研ぎ澄まされて理路整然と過不足のないものは、その後のどんな風雪にも耐えうる力を持っていることを、個人の経験から、人類総体の歴史性からもなお、何度も何度も確認させられてきました。

そこに、幾多のありうる道筋がああでもないこうでもないと議論を闘わされることをとおして、そこからひとつの道が見出されることと直接に、棄てられた考えすべてが止揚されているような形態は、学問であれば他のどんなことにも使える科学的なものなのであり、ものづくりの場合であればどんな環境のどんな人の手にもなじむものに仕上がっている必然性を含んでいるからです。

必要でないもの、いつか必要になるかも知れないものではなくて、どう検討してもこうでしかありえないようなものごとをこそ、進んで取り組んで研ぎ澄まし、そのことをとおして物事を研ぎ澄ますやりかたそのものを探求してゆきたいと考えています。

そうはいっても、現象としてはジグザグの回り道を辿ることにもなりますから、見た目の上ではあれもこれもと手を出してどれも物にならないことをやっているなと見られることもあるでしょうが、誤解を恐れずに本質を見据えて貫いて、転びながら引き返しながらでも、一歩ずつ歩んでゆこうと祈念しています。

曲がりくねった道程に、みなさんを付き合わせることも少なくないかと思いますが、本年も何卒よろしくお願いいたします。

新年のご挨拶に代えて。

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