2011/02/10

どうでもいい雑記

Appleの話題をよく振られる。


昨日聞かれたのはこれ。
「次のiPadは買いですか?」

むしろわたしが知りたい。


…とだけ答えるもさすがに悪いと思ったので、
わかる範囲でお答えした。

どういうことをお伝えしたかというと、
ビデオチャット用のカメラ(要するに、デジカメには使えないくらいの性能)
がついて、少し薄くて軽くなりそうなこと。
3月までには発表されそうなので、いまは微妙な時期だということ。


といっても、いざ新モデルが出ても、一般の消費者にとって、
「すごいの出た!」ってほどではないと思う。
オタクにとっては「すごいの」でも、一般の人達にはどうでもいいことのほうが多い。
買ってしばらくして人から指摘されて始めて「そういや違うね」というくらいである。

◆◆◆

わたしはiPad大好き人間で、
図書館にも風呂にもベッドにもチャリツアーにも肌身離さず持って行きまくっている。
歴史年表も論文も、スキャンした雑誌も甥っ子への教育も、デッサンの資料を表示するのも、革工作も彫刻のイメージ作りも人体の解剖資料も元素記号の表示も天体の運動も楽譜も作業中の音楽再生も…中略…全部これだ。
実家に帰ると母親がパズルゲームで遊びまくるので、まさにフル稼働状態。

道具については、もともと大きめの、ゆったり使えるものが好きなので、
指で触っていると画面がほとんど隠れちゃうiPhoneよりもずっと好きだ。
バッテリーを全然気にしなくても、余裕で一日持つのも最高。
個人的には、初代iPod以来の大傑作だと思っている。

不満はといえば、買い換えることを見越して16GBモデルを使っているので、
容量が全然足りない、ということくらい。


どうせ買い換えるなら、128GBとRetinaディスプレイが付くまで待つつもりである。
学生が安くで譲ってくれ、といういつものパターンになったらまた考えますけれども。

◆◆◆

Retina(網膜)ディスプレイってなんじゃいと言えば、
くわしくはAppleのページがやはりわかりやすい。

右のiPhone 4のほうが、かなり細かい。

いちおうここでも説明すると、
iPhone 4ではじめて搭載された、描画が細かい液晶のことである。
「なんだそんなことか」と言われる方は、お店で確認してほしい。
パッと見は、紙に印刷されたようにみえるから。

iPhoneで搭載されてるなら次はiPadにも、
と思う消費者(オタク?)心理はわからんではないし、
わたしもこれあったらうれしいなあとは思うけれど、
個人的な見解としては、まだ積まないんじゃないかなという印象だ。

正しくは、積まないというよりも、積めない。
なぜかというと、Retinaディスプレイでは、
従来の液晶から縦が2倍、横が2倍で、面積比では4倍の細かさになっているわけである。

こういうデバイスというのは、液晶だけを高機能にしてもダメで、
それにあわせて、そこに画像を描画するための装置も高機能にしなければいけないのだ。

◆◆◆

詳しい説明は省いてすごく大雑把に言うけれど、
現在、iPadはその描画装置を256MBぶん積んでいると思いねえ。(詳しく言うと違うが)

単純に計算すると、Retinaディスプレイを搭載すると、
この数字を4倍して、1024MBにしないとバランスが取れない。
(解像度2倍、という記者もいるが、
解像度はドットの数なので、平方して4倍と言ったほうがわかりやすい)

でも、いきなり4倍というのはドッグイヤーと呼ばれる業界でも前例がない。
順当に行けば、今年は前年の2倍、次の年もそのまた2倍な気がする。

じゃあ液晶だけを良くして、ほかはいまのまま、というふうに、
バランスが取れないとどうなるかというと、
「動きがもっさりする」。

製品全体の完成度をなによりも重視するAppleが、
こんな選択をとるとは思えない。それが理由である。


そもそも、現行iPadの4倍って、解像度にして1,536×2,048ドットである。
これは、一昔前の業務用ディスプレイなみのバケモン仕様だ。
(よく考えたら、バスなんかの足回りも強化しないとまともに表示すらできんね)
わたしの使ってる15インチMacBookは1,680×1,050ドットだから、
10インチにしてこの解像度は、まさに目潰し級である。


ただ、奇しくも最近のニュースによると、
去年の第4四半期ではスマートフォンがPCの販売台数を抜いたらしく、
このスケールメリットを活かせば、こんなとんでもないものがけっこう早めに出せる時代なのかもしらん。

4年前に、画面をタッチして操作できること自体に驚いていたことを思うと、
なんとも先の読めない時代である。

◆◆◆

…と書いて帰りしなに日経の夕刊を見たら、またまたタイムリー。

「hpがPCにWeb OSを採用」とある。

「ついに来たか!」という感じがする。
hp? Web…??な方々に説明をしておくと、
hp(ヒューレット・パッカード)は、世界でPC出荷台数No.1の米国企業である。
PCというからには、Windows OSを搭載しているわけだが、
そこがなんと、自社製のOSを採用するのである。

排他的かデュアルブート(両OSが起動可能)にするかはまだわからないが、
Windows 95が世界的に圧倒的なシェアをしめて以来、これはとても大きな転機になりそうだ。

わたしは8年くらい前に、Microsoft社全盛の頃、
「あんな会社はあと10年くらいしか持たない」
などと言って周囲からキチガイ扱いされていたが、
潰れてはいないものの、あの頃の面影はまるでない。

もっとも、別に確固たる根拠があったわけではなくて、
単に商品のクオリティが低すぎるから、ケチをつけていただけのような気がするが。


さてWeb OSといえば、もともとは米Palm社が開発していたものを、
hpが会社ごと買収したものだ。
Palmの思想を受け継いで使い勝手はすこぶる良さそうなので、
個人的には関心を持って見ていた。
(開発者には、元iPhoneチームもいる)

つい最近までは、Androidが次の世代のコンピューティング体験全般を
押し上げてくれるかと思っていたけれど、
"laissez-faire"の思想が強すぎて、使い勝手がまるで統一されていないわ、
ほとんどのアプリをドル建てでしか買えないわ、散々である。
(逆にAppleなんかは、使い勝手の素晴らしさと引き換えに、
専制君主制に近いものがあるけれども)
やることはMSほどトンチンカンでもないので期待していたけれど、
成熟までには思っていたより時間がかかりそうだ。

Web OS端末は年末頃には日本にも入ってくるだろうから、
ひさしぶりにApple系以外でまともに試してみたいコンピュータが出てくることになる。

◆◆◆

あとデジタル製品のことを書いたついでにだけれど、
最近発表された携帯型ゲーム機PSP 2(仮)
あらためNGP(コードネーム、たぶんまたあらためる)は、
中身としては「すごいiPhone」と言ってもいいようなコンポーネントである。

裏をかえせば、中身だけならiPhone 5かiPhone 6で追いつかれる、ということだ。
5年前後はスペックを固定しなければいけないゲーム機側にとって、
これはなんとも差別化にこまる時代だな、と思う。

そのせいか、センサーごてごてのお化けマシンみたいになってるけれど、
これが吉と出るか凶と出るか、というところ。
(たぶん、ほとんどのソフトがまともに使わないでしょうね…)

PS3やXbox360なんかの据え置き機と同じくらいの性能が出せるらしいが、
そんなことをしたら、開発費がかかりすぎて、
ただでさえ少ない弾がさらに減ってしまうのでは、といらぬ心配をしてしまう。

絵物語でもいいから、「これならいける!」と思わせるアイデアがないと、
今の飽和時代に新商品を出すのは危険すぎるんじゃないかなあ。
もう、ハードウェア単体、ソフトウェア単体で売る時代は終わったのだ。

その商品が、エコシステムの一部を形成するようなものでなければ、価値がない。
AppleがiTunesでiPhoneアプリを売ると発表したときには、ほんとに驚いたもの。

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