2011/02/09

整理能力の向上のために

※本の扱いなど、ちょっと追記しました。


この前のエントリーで、
幼少期の自発性の育ちと、整理能力の有無について、
簡単に述べておきました。

すでに個人の生育史と認識論で、一般的にはかなりの部分の解明が進んでいる分野なので、
とてもここですべてを説明し尽くすわけにはいきません。


整理能力というのは、それを持たない人間からすれば、
自分の作品のなかにその欠如を指摘されても
「どこがいけないのか?中身は同じではないか」
と、のれんに腕押しとなってしまうところだけに、
物心ついてからの習得が非常に難しい能力です。

実は、これがなければ、学問など夢のまた夢、という重要な要素なのですが。

◆◆◆

ともあれ、わたしにできることをお伝えしておこうと筆を執りました。

整理能力が足りないと思う人は、下に書いてあることをすべて真似して、
今日からはじめてください。
(自分流にアレンジしてもまったくかまいませんが、
様式を統一させることによって整理能力をつけることが目的なので、
意味もないアレンジはしてはいけません)

赤色、青色のボールペン、シャープペンが必要なので、
3機能つきのペンを買っておくと便利です。


まず、下の画像を見てください。
本をスキャンしたもののなかに、赤色のガイドが見えるでしょう。
※色は目立つように赤くしただけです。

わたしが本を読むときに引いたガイドマーカー

◆◆◆

わたしは、本を読みながら、どんどん書きこんでいきます。

たまに、本を買ったのに何も書き込まず、カバーをつけてめちゃくちゃ綺麗に保管している方がおられますが、わたしからすると「あれでアタマに入るのかな?」と思います。
本の内容を「知っていれさえすればいい」と、「使えなきゃ困る」だと、
まったくレベルが違います。

あいだに横たわっている技術(科学の現実への適用)の問題を乗り越えるには、
それこそ筆者と格闘するレベルでの読み込みが必要です。
わたしは、一流の本ともなれば、自分のアタマの中に筆者の像ができて、
彼や彼女と横に並んで議論しながら散歩できるくらいまでは本を手放しません。

どこぞの小説家みたいに、「同じ本を二度読んだら負け」だとか、
どこぞの自己啓発セミナーの主催者みたいに、「本は10分で読める」だとかの
信念をお持ちの方には信じられないかもしれませんが…
わたしは、もう5年以上も毎日読んでいる本があります。

それはさておき、綺麗にしていても、読み終わったらブックオフなんかで二束三文で売るはめになるのでしょうから、長く付き合いたい本ほど、しっかり線を引きまくってあげてもいいんじゃないでしょうか。
(わたしはあんなふざけた値段で下取りに出すくらいなら、必要な人にあげます。ああいうところは市場価格に合わせるので、本の価値にはまるで見合わないんだもの)

希少書なんかは扱いに難しいですけどね。
わたしは1万円までの本なら、エイヤと思って書きこんでしまいます。
しっかり吸収すれば、先達も本も喜んでくれるはず…

◆◆◆

わたしの設定しているルールは、高校生の頃から統一させてきました。
そのガイドマーカーは、以下のとおりです。


専門用語の説明の下線を、問題点のところにはギザギザの下線、
などというふうに自分でルールを作っておくと、さらに見やすくなります。

◆◆◆

こうしておくと、
重要な箇所の多い本は、小口(背表紙の反対です)の天(上部のこと)が折れ目だらけになります。
箱入りの本だと、箱に入らないほどになることもあります。

また、調べるべき箇所が残っているのにそれが済んでいない本は、小口の地(下部)に折れ目が残っていますので、本棚に戻すわけにはいかないことがわかります。


なぜに左側(横書き時の始まりページ側)を折って、
右側(終わりページ側)を折らないかは、やってみればわかります。

◆◆◆

ノートの取り方については、移転前のブログで紹介しましたが、
念のために大学時代のものを貼っておきます。

シュテーリヒ『西洋科学史』のノート

三浦つとむ『弁証法はどういう科学か』のノート

ノートに書き写すときには、全文を書くわけにはいかないので、
自然に整理しながら書くことになります。

項目の出だしに□をつけておくと、
前後のつながりを矢印で表すときに便利です。

ノートの紙面はといえば、右端を、常にメモ用にとってあります。

こういう工夫を常に心がけていると、整理能力なんていうものは、
誰に教えられていなくても自然と身についてくるものです。
ただ、ノートの筆記にあまり時間を使い過ぎるのも考えものですけどね。

◆◆◆

余談ですが、筆記にはパイロットの万年筆とブルーブラックインクを使っているので、藍色です。
自分の主観でメモ書きするときは、オレンジ色のインクを。
消しゴムで消せないので、ミスするとイタイ。
なのでシャープペンで筆記するよりも、事前の整理能力が問われますし、集中力がつきます。

ともあれ万年筆を知らない人は、ほんとに不幸だと思いますよ。
わたしはこれを忘れると、研究する気がなくなります。

パイロット社 ミューレックス(F(細字))。
バブル時代の万年筆なので、買うときはオークションで。

それから、愛用しているノートは、コープの「リーフノート」。

ルーズリーフをノート型に綴じてあり、
ファイルにしまうときには1枚ずつ取り外してしまえます。
これがなくなると研究できなくなる(そんなんばっか、笑)ので、
値上がり前に買い込んで、100冊くらい持ってます。
(たまに品切れすると、全然入荷しなくなるし…)

◆◆◆

個人的な経験からいえば、
ノートを見ると、その学生さんがどれくらいの点数をとるかはわかります。
(ただ、ほんとうに賢いか、勉強ができるだけかは一見ではわかりにくいですね)

整理能力がある人は、細字の矢印と太字の矢印で意味を変えますし、
同じ属性に属すものは、必ず同じマーカーで線を引きます。
ない人は、とくに意味もなく、いろいろな蛍光マーカーを引いてしまいます。
(もちろん、ご本人に指摘しても「何がだめなのか?」という具合です)
こういう人は、研究が高度になってくると付いてこれなくなります。
(もちろんご本人は…)

というわけで、ぜひとも真剣に参考にしてください。
手前味噌ながら、自分ほどノートをとるのが好きな人間もほとんどいないと思うので。
(字体はペン習字を始める前なのでえらいマルジですが)

「私のほうがうまいぞ!」という方がおられましたら、ご一報ください。
ぜひ見せ合いっこしたいですね。

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